金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年12月03日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)教授便り(4)


金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)教授便り(3)
より


臨床医の研究と専門性(4)


一流の研究は一般臨床とは両立し得ない

そこで、「臨床と研究を両立させることは可能か」という、最初の学生さんの質問に戻ります。

この質問を受けて、25年前、アメリカNIHにいた時にこの件について何度か議論したことを思い出しました。

NIHには当時300人以上の日本人フェローが研究しており、他大学から来ている研究者との交流はその後の大きな財産になっています。

臨床の教室から来ている研究者の答えは、例外なく「両立は不可能」でした。

大きな大学の臨床教室には、もっぱら臨床を担当している医師がいて、研究担当医師が業績を挙げるのをサポートしているということでした。

それはそれで効率のよいシステムなのでしょうが、臨床当番を踏み台にして研究が成り立っているようで、何か腑に落ちないものを感じました。


同じ教室の中で差別化をしなくとも、一人が分担する疾患を絞れば、臨床と研究を両立できるのではないか。

私自身はそう信じて、帰国してからは、特定の領域に絞って臨床と研究の両方に携わってきました。

その結果は、決して大成功したという訳ではないのですが、ある領域については、治療や病態について世界中の誰よりもよく理解していると、最近では実感できるようになりました。

したがってこの考えも、大きく間違ってはいなかったようです。

このため、先の学生の質問には「広い領域で一流の臨床家でありながら、基礎研究で一流の成果を出すのは無理。しかし、臨床の専門領域を絞れば、臨床と基礎研究を両立させることは不可能ではない」と答えました。


(続く)金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)教授便り(5)



【リンク】
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:03| 血液内科