2012年01月06日
VWFプロペプチド(VWFpp)とvon Willebrand病診断
von Willebrand病(VWD)の診断を行う上で、VWFプロペプチド(VWFpp)の有用性を論じた報告を紹介させていただきます。
(参考)血友病、後天性血友病、PT-INR、APTT、第VIII因子インヒビター
「VWFプロペプチドによる評価はvon Willebrand病診断を向上させる 」
著者名:Casonato A, et al.
雑誌名:Semin Thromb Hemost 37: 456-463, 2011.
<論文の要旨>
von Willebrand病(VWD)のなかには、von Willebrand因子(VWF)の半減期が短かくなる病型が存在することが知られるようになりました。
VWFの半減期は、従来はデスモプレシン(DDAVP)負荷試験により検査されてきました。
最近では、VWFプロペプチド(VWFpp)を測定することが可能となり、この方法であれば特に負荷試験を行うことなく、1回の採血でVWFの代謝を知ることができます。
すなわち、VWFの半減期が短くなると血中VWFpp濃度は上昇します。
また、VWFpp/VWF抗原比(VWFpp比)の算出は、DDAVP負荷試験の代わりとなるVWF代謝を評価する方法です。
VWD1型においてはVWFの量的な欠損でありVWFpp比は正常です。
VWD2B型においてはVWF半減期は短縮しており、VWFpp比は上昇しています(VWFpp比とVWF半減期は負の相関となります)。
以上、VWFpp比を測定することによりVWFの半減期を評価することは、VWDの病態を正しく把握するのみでなく、最も適した治療法を選択する上でも有用です。
【リンク】
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:48| 出血性疾患