2012年01月07日
VWDの過多月経とIL-11治療
von Willebrand病(VWD)女性における過多月経に対して、遺伝子組換えIL-11(rhIL-11, Neumega)による止血治療を行った臨床試験の結果を報告しています。
(参考)血友病、後天性血友病、PT-INR、APTT、第VIII因子インヒビター
「軽症VWDに不応性過多月経をきたした女性に対するIL-11治療(第II相臨床試験)」
著者名:Ragni MV, et al.
雑誌名:Thromb Haemost 106: 641-645, 2011.
<論文の要旨>
von Willebrand病(VWD)女性における過多月経の治療は、いまだ満足すべきものがありません。
著者らは、このような症例に対する遺伝子組換えインターロイキン-11(rhIL-11, Neumega)の効果と安全性を検討しました(単施設での第II相臨床試験)。
対象は、止血薬やホルモン薬に不応性の過多月経がみられる軽症VWD7例であり、月経周期6回に際して最長7日間のrhIL-11皮下注が行われました。
その結果、rhIL-11の投与によって、月経時出血の重症度は低下しました(pictorial blood assessment chart <PBAC>で評価)。
rhIL-11の投与により、血漿VWF:RCo活性は1.1倍となりましたが、PBAC、出血日数、周期の重症度、高感度CRPとは相関しませんでした。
血小板内のVWF-mRNAの発現は平均4 倍(1.0〜13.5)となりました。
副作用として、軽度浮腫、顔面紅潮、結膜充血、局所の紫斑がみられましたが、許容範囲内でした。
以上、rhIL-11は、軽症VWDにおける過多月経を安全に軽減し、さらなる検討の価値があるものと考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:37| 出血性疾患