2012年01月23日
金沢大学呼吸器研究室便り(1)
平成23年度研究室だより
金沢大学呼吸器研究室(1)
1.気道疾患グループ(BAグループ)
咳嗽は、きわめて普遍的な症状であり、医療機関の受診理由として最も頻度が高い症候の一つに挙げられている。
2011年に実施したWebアンケート調査では、我が国の総人口の10%程度が咳嗽を自覚しており、さらに8週間以上持続している者は2%程度存在するが、医療機関を受診している割合は21.2%に過ぎないことが明らかとなった。
その理由の一つに医療者側の咳嗽診療に関する認識不足が挙げられる。2011年10月に北国新聞に掲載された記事をみて、大学病院に駆け付けた患者の中には、30年〜40年も咳嗽で苦しんでいた人がいた。
我々のグループでは、1989年にアトピー咳嗽に関する最初の論文を発表して以来、それまでの喘息中心の研究からアトピー咳嗽を柱とした慢性咳嗽中心の研究にシフトしてきた。
20数年間の基礎的および臨床的研究によって、アトピー咳嗽は疾患概念として市民権を得るに至った(平成24年度の「今日の治療指針」に登場)が、同時に対比すべき咳喘息に関する基礎的および臨床的研究も実施してきた。
その結果、アトピー咳嗽と咳喘息の咳嗽発生機序を突き止めることに成功した(咳嗽の発生機序:咳喘息・アトピー咳嗽・副鼻腔気管支症候群2)。
慢性咳嗽の原因疾患の病態が解明されてくれば、それぞれの病態に基づいた診断(病態的診断)が可能になり、現在の治療的診断から脱却できる。さらに難治症例に対する特異的かつ、より強力な治療薬の開発も必要である。これらの目標に向かって研究を重ねている。
(続く)金沢大学呼吸器研究室便り(2)
【関連記事】 咳嗽の診断と治療
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3)急性咳嗽
4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽
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6)診断フローチャート
7)咳喘息
8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息
9)副鼻腔気管支症候群(SBS)
10) 胃食道逆流症(GERD)
11)慢性咳嗽&ガイドライン
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:58| 呼吸器内科