金沢大学血液・移植研究室便り(3)
金沢大学血液・移植研究室便り(2)より続く。
血液・移植グループ(3)
4-2.研究
欧米を中心として再生不良性貧血に対するウサギATG(サイモグロブリン)の治療効果に疑問が呈される中、山崎宏人は免疫病態の関与を示唆するPNH型血球陽性の再生不良性貧血患者に治療対象をしぼれば、サイモグロブリンの治療効果は従来のウマATGを用いたときと遜色がないことを報告しました。
高見昭良先生は博士研究員のLuis Espinoza先生、保健学系修士課程2年目の中田勝也さんとともに、NKG2DやIL-17などの免疫調整遺伝子多型が非血液ドナーからの骨髄移植の治療成績に影響を及ぼすことを明らかにしました。
任田早希さんはTNFαと密接に関連しているCD53のSNP解析を行い、移植後の再発率との関連を検討しています。山田佳代子さんは同種骨髄移植におけるGranzyme Bの抗腫瘍活性について検討しています。
NTT西日本金沢病院に出向中の岩城範子先生もLuis Espinoza先生の手ほどきを受けて研究を開始しました。
高松博幸先生は再生不良性貧血におけるモエシン抗体の意義を追う傍ら、「症例特異的プライマーを用いた多発性骨髄腫微小残存病変(MRD)の検出と予後に関する検討:保存骨髄塗抹・生検検体を用いたレトロスペクティブ研究」を多施設共同研究として開始しました。
MRD陰性の症例では長期生存の可能性があり、様々な新薬の登場によって飛躍的に治療成績が向上している多発性骨髄腫の臨床研究として注目されています。
日本成人白血病研究グループ(JALSG)の臨床研究への症例登録が伸び悩んでいる一方、山�はコアメンバーである大竹茂樹先生のご推薦をいただいてGML211委員会の委員に加わりました。
当教室出身の石山謙先生もメンバーの一人です。
臨床・研究・学生教育に加え新スタッフ獲得のためのリクルート活動など、相変わらず忙しい毎日ですが、病棟も実験室も活気が戻ってきました。
OBの先生方もどうぞお気軽にお立ちより下さい。
(文責:山崎宏人)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:02| 血液内科