2012年01月31日
金沢大学血栓止血研究室便り(3)
金沢大学血栓止血研究室便り(2)より続く
血栓止血研究室(3)
当研究室は、一貫して「血栓症の克服」に向けて研究を進めています。
特に、播種性血管内凝固症候群(DIC)病態解析と治療法の改善、抗リン脂質抗体症候群(APS)の病態解析・臨床、血栓性疾患の病態解析、凝固異常症の遺伝子解析は、私達が最も力を入れているところです。
DIC研究に関しては、ラットDICモデルを用いた検討を行ってきましたが、LPS誘発DICモデルと組織因子(TF)誘発DICモデルでは全く病態が異なり、前者は臨床の線溶抑制型DICに後者は線溶亢進型DICに類似した病態であることを指摘しました。
また、TFモデルは元来臓器障害を来しにくいモデルですが抗線溶薬を投与すると臓器障害が悪化すること、LPSモデルに対する抗線溶薬の投与は臓器障害をさらに悪化させること、LPSモデルに対するウロキナーゼの投与は臓器障害の進展を阻止することなどの事実から、DICにおける線溶活性化が病態と密接に関連することを報告してきました。
最近では、本来は他疾患に用いられている種々の薬剤が、DIC病態を軽快させるという興味深い結果が蓄積されています。
なお、日本血栓止血学会 学術標準化委員会(SSC)の「DIC部会」の部会長として朝倉が任ぜられ、また、森下、林は部会員に任ぜられています。
金沢大学としては日本におけるDICの臨床&研究における責任の重大さを感じているところです。
現在、DIC診断基準の改訂作業が、最も重要なテーマになっています。
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:33| 血栓止血(血管診療)