金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年02月12日

DICの治療:急性白血病(APL以外)

DICの治療:免疫グロブリン製剤より続く

DICの治療(基礎疾患別)(9)急性白血病(APL以外)

急性白血病(APL以外)に合併したDICの治療

急性白血病に対して、適切な化学療法を行うことが最重要です。

抗凝固療法としては、歴史的には、未分画ヘパリンが頻用されてきましたが、出血の副作用の問題があるため、近年はあまり使用されません。

出血の副作用が少ない低分子ヘパリンダナパロイドの方がヘパリン類の中では使用される機会が多くなっています。

ただし、これらのヘパリン類は、未分画ヘパリンよりも出血の副作用が少ないですが、全くないという訳ではありません。


メシル酸ナファモスタット
フサン)やメシル酸ガベキサートは、出血の副作用がほとんどないため、白血病が基礎疾患のように出血しやすいDICには良い適応となります。

特に、メシル酸ナファモスタットは、現在の臨床用量で線溶抑制効果も強力であり、線溶亢進型〜線溶均衡型DICに対して有効な治療薬です。

管理人らは、メシル酸ナファモスタットは急性白血病に合併したDICに対して最も相性が良い薬剤の一つと考えています。

急性白血病に合併したDICにおいてはAT活性が低下することが少なく、AT濃縮製剤の使用頻度は少ないです。


rTM(リコモジュリン)は、造血器悪性腫瘍に合併したDICに対しても未分画ヘパリン以上に有効であり4)、今後、使用頻度が急増する可能性が高いです。

血液内科領域では、移植関連の肝中心静脈閉塞症(veno-occlusive disease:VOD)や、血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy, TMA)に対しての期待も大きいようですが、現時点ではエビデンスはなく保険認可もされていません。


急性白血病では、DICコントロールを行っても血小板数の回復は期待できないために、しばしばPCの輸注が必要となります(DICの補充療法)。

線溶活性化が著しいDICの極期においては、血小板数から想定される以上に出血傾向が高度である点に留意が必要です。

フィブリノゲンが著明に低下したり、プロトロンビン時間(PT)が著明に延長した症例に対しては、FFPによる凝固因子の補充を行います。

(続く)DICの治療:急性前骨髄球性白血病(APL)


【リンク】
 
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:25| DIC