金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年02月24日

医師国家試験:ビタミンK依存性凝固因子

医師国家試験:血小板数低下より続く。

106回医師国家試験の問題紹介を続けさせていただきます。

 

【設問】

ビタミンK依存性の凝固調節因子でないのはどれか。

a 第II因子
b 第VII因子
c プロテインC
d プロテインS
e フィブリノゲン

 

【解説】

ビタミンK依存性凝固因子は、半減期の短い順番に、第VII因子、第IX因子、第X因子、第II因子です(第VII因子が最も半減期が短いです)。

代表的凝固阻止因子である、アンチトロンビン(AT)、プロテインC(PC)、プロテインS(PS)のうち、PCおよびPSもビタミンK依存性です(参考:先天性血栓性素因と病態/アンチトロンビン・プロテインC&S欠損症)。

 

a 第II因子(プロトロンビンとも言います)は、ビタミンK依存性凝固因子です。

b 第VII因子は、ビタミンK依存性凝固因子です。ビタミンK依存性凝固因子の中で、第VII因子は最も半減期が短いです。そのために、ビタミンK欠乏症では、まず第VII因子が低下する。PTは第VII因子を反映しますが、APTTは第VII因子を反映しませんので、ビタミンK欠乏症のスクリーニング検査は、APTTではなくPTで行います。

c プロテインCは、ビタミンK依存性凝固阻止因子です。

d プロテインSは、ビタミンK依存性凝固阻止因子です。ワルファリン(ビタミンK拮抗薬)内服中は、誰でもプロテインC、プロテインSともに低下するために、先天性プロテインC欠損症や先天性プロテインS欠損症の診断には注意が必要です。

e フィブリノゲンは、ビタミンK依存性ではありません。


【正答】e


(続く)医師国家試験:皮膚の出血斑(紫斑)


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:02| 医師国家試験・専門医試験対策