金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2012年02月25日

医師国家試験:皮膚の出血斑(紫斑)

医師国家試験:ビタミンK依存性凝固因子より続く。

106回医師国家試験の問題紹介を続けさせていただきます。

 

【設問】

68歳の女性。皮膚の出血斑を主訴に来院した。打撲した記憶がないにもかかわらず、数ヶ月前から両側の手背と前腕とに出血斑が見られることが気になっていたという。鼻出血と歯肉出血とを認めない。口腔粘膜に点状出血を認めない。

両側の手背と前腕とに径3〜5cmの紫斑を3個認める。

血液所見:

赤血球468万、Hb13.9g/dl、Ht42%、白血球6,300、血小板20万、PT98%(基準80〜120)、APTT33秒(基準対照32)。


対応として適切なのはどれか。


a.    経過観察
b.    骨髄穿刺
c.    血清免疫電気泳動
d.    血小板凝集能検査
e.    凝固因子活性

 

【解説】

高齢者の女性で両側の手背と前腕に出血斑がみられていますが、その他の出血症状はみられていません。血小板数、PTAPTTの各検査は正常です(凝固異常を伴っていません)。

老人性紫斑と考えられます。特に、手背と前腕が好発部位です。

老人性紫斑は、高齢者の、前腕、手背などに出現します。境界明瞭で、青紫〜暗紫色です。自然消退しますが、しばしば場所を変えて再出現します。


老人性紫斑は病的なものではなく、放置して良いです。全ての検査結果が正常です。

臨床現場ではしばしば遭遇します。出血斑の画像は確認しておきたいところです。

 

(続く)医師国家試験:特発性血小板減少性紫斑病〈ITP〉


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:32| 医師国家試験・専門医試験対策