金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年03月20日

血友病A患者における癌

血友病は補充療法の充実により、QOLは改善し長寿を望めるようになりました。

それに伴い、高齢者に多い疾患である心血管疾患(参考:血友病の冠動脈石灰化と頸動脈内膜中膜肥厚度血友病と動脈硬化血友病A患者と冠動脈石灰化)や癌などが問題になってきているようです。


「血友病A患者における癌(イタリア) 」

著者名:Tagliaferri, A. et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 10: 90-95, 2012.


<論文の要旨>

血友病は補充療法の充実により、QOLは改善し長寿を望めるようになりました。

それに伴い、高齢者に多い疾患である心血管疾患や癌などが問題になるようになりました。


著者らは血友病における癌の実状(イタリア血友病センター協会;AICE)を調べることにしました。

AICEの21センターの症例(1980〜2010年)を調査したところ、血友病122症例において127の癌が確認されました。

癌の69%は、2001〜2010年の登録でした。

83%の症例はHCVに感染しており、そのうち22%はHIVとの重複感染でした。


癌のうちHCV関連は43%であったのに対し、HIV関連は9%でした。

重症血友病は、軽症&中等症血友病と比較して、ウイルス関連の癌がより高頻度でした(P=0.0004)。

出血の合併症は、化学療法(14%)や放射線療法(19%)を行っている症例で高頻度でした。


以上、血友病診療に従事している医師にとっても癌診療は重要な課題になっていくものと考えられました。


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:24| 出血性疾患