金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年05月06日

厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(2)

厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(1)より続く。


DIC診断基準の改訂へ(2)
 

厚労省DIC診断基準(1988年改訂版)は、1980年にその原型があり長年にわたって使用されてきました。

それだけ素晴らしい診断基準であったということかもしれませんが、種々の問題点も指摘されてきました。

診断基準の改訂は、DICの臨床、研究を向上させるためにも、最も重要な課題の一つです。

管理人の私案ですが、診断基準の改訂の方向性について論じてみたいと思います。

その中で現在の診断基準の問題点や限界を考察してみたいと思います。


1)    診断スコアスコアリング引き下げ

DICと診断されるスコア7点以上でDICの治療を開始している臨床医は15%に過ぎないことが分かっています。

中川雅夫: 播種性血管内凝固(DIC)診断基準の利用に関する調査報告. 厚生省特定疾患血液系疾患調査研究班血液凝固異常症分科会平成十年度研究業績報告書 1999: 65-72.

臨床医の85%は、DICスコア6点以下であってもDIC治療を開始していることになります。

DICと診断されるスコアを1点引き下げて、骨髄非抑制群(非白血病群)ではDICスコアで6点以上(現状は7点以上)、骨髄抑制群(白血病群)では3点以上(現状は4点以上)で診断とするのみで、現状に一致することになります。


2)    基礎疾患をスコアリングから削除

基礎疾患のないDICは存在しませんので、基礎疾患でのスコアリングはナンセンスです。

基礎疾患の存在は必須として、スコアリングから外すべきと考えられます。

それに伴い(基礎疾患でのスコアリングを外すことに伴い)、DICスコア5点以上でDICと診断されます。

(続く) 厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(3)

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:37| DIC