新規経口抗凝固薬(3): プラザキサとイグザレルト(心房細動)
新規経口抗凝固薬(2): プラザキサ, イグザレルト, リクシアナ他より続く。
参考書籍:「臨床に直結する血栓止血学」(新規経口抗凝固薬についても詳述されています)
参考記事:PT-INR、ダビガトラン、プラザキサ、、ワーファリン、リバーロキサバン、アピキサバン、深部静脈血栓症
新規経口抗凝固薬は、大変に期待されています。
今後、これらの薬物の特徴を熟知した上で、使い分けをどうするかと言った議論がなされるようになるのではないかと思っています。
この記事の執筆時点で、非弁膜症性心房細動(NVAF)に対して処方することのできる新規経口抗凝固薬は、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)と、リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)のみですが、この2剤の比較でも、共通点と相違点があります。
<プラザキサとイグザレルトの共通点>
1. 適応疾患はどちらもNVAF(本記事執筆時点)。
2. 分子量が小さい。
3. 腎代謝が主体(ただし、イグザレルトは活性体の腎代謝は36%ですので、腎機能障害があった場合の影響はプラザキサよりも少ないです。一方、プラザキサは肝機能障害があった場合の影響はイグザレルトよりも小さいことになります)。
4. Tmax(ピーク)は、2〜3時間。
5. 半減期は、半日くらい。
6. P糖蛋白相互作用あり。
<プラザキサとイグザレルトの相違点>
1. プラザキサは抗トロンビン作用、イグザレルトは抗Xa作用。
2. 製薬会社(当然と言われそうです、すいません)。
3. プラザキサは1日2回内服、イグザレルトは1日1回内服。
4. 生体利用率:プラザキサは低いです。抗トロンビン薬は吸収されにくいようです。そのためにプロドラッグにされています。
5. 代謝。
6. 剤型は、プラザキサはカプセル、イグザレルトは錠剤です。
上記の相違点のうち、とくに赤字の項目が大きな議論になるのではないかと思っています。
医学的には、トロンビンを抑制するのが良いのか、Xaを抑制するのが良いのかが大変に興味がありますが、結論は出ていません。
ワルファリンとの比較試験ではなく、将来プラザキサとイグザレルトの直接対決をしてはどうかと、第三者の立場では思ってしまいますが、多分、どちらの製薬会社も躊躇されるのではないかと推測します。
引き分けになると良いのですが、どちらかに軍配が上がった場合には大変なことになりそうです。しかし、自分がどちらかのお薬を内服するpatientの立場になった場合には、この結果をみて決めたいと思うかも知れません。
(続く)新規経口抗凝固薬(4): プラザキサのモニタリング不要? へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:47| 抗凝固療法