新規経口抗凝固薬(5): プラザキサ薬物動態とモニタリング
新規経口抗凝固薬(4): プラザキサのモニタリング不要?より続く。
参考記事:PT-INR、ダビガトラン、プラザキサ、ワーファリン、リバーロキサバン、アピキサバン、深部静脈血栓症
ワルファリン(商品名:ワーファリン)とダビガトラン(商品名:プラザキサ)を比較した場合に、いくつかの相違点があります。
モニタリングを考える場合も、大きな違いがあります。
ワルファリンのモニタリングは、PT-INRなどで行われています。
この場合、採血は一日のうちいつ行っても、PT-INRはほぼ同じデータになります。
しかし、ダビガトラン(プラザキサ)などの新規経口抗凝固薬の場合は、話が違ってきます。
新規経口抗凝固薬のTmaxは内服後2~3時間ですが、半減期は半日です。
内服後、どのポイントで採血するかによって、PT-INR、APTTのデータはまるで変わってきます。
この点は、上図からも明らかです。
ダビガトラン(プラザキサ)などの新規経口抗凝固薬は、モニタリングしなくても良いというのが当初キャッチフレーズになりましたが、本当にそうでしょうか?
ダビガトラン(プラザキサ)は、モニタリングをしなかったために、致命的な出血の副作用が出現してブルーレターが出たのではないでしょうか。
その後の製薬会社さんのご努力で、出血の有害事象があまり出なくなったと聞いていますが、モニタリングがしっかりされるようになったこともあるのではないでしょうか。
さて、新規経口抗凝固薬を内服されている患者さんの採血をいつ行うのが良いでしょうか。
今後の検討課題だとは思いますが、管理人らは、薬物血中濃度がピークで採血すべきではないかと考えています。
朝食後にダビガトラン(プラザキサ)を内服した場合には、外来で採血すれば2〜3時間後のピークになっているのではないでしょうか。
薬物濃度がピークの時点でのAPTT、PTが想定範囲を越えていた場合には、出血の副作用が出現する可能性があると考えるべきではないでしょうか。
トラフとなるタイミングで採血してもAPTT、PTは延長していません。
もしトラフのタイミングでAPTT、PTが延長していたら大変なことです。問題外です。
そうではなく、薬物血中濃度がピークのポイントであっても、出血の副作用がでるほどの延長になっていないことを確認することが重要ではないかと思っています。
(続く)新規経口抗凝固薬(6): プラザキサとPT・APTT・検査試薬 へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:58| 抗凝固療法