2012年05月20日
新規経口抗凝固薬(7): イグザレルト(リバーロキサバン)とPT-INR
新規経口抗凝固薬(6): プラザキサとPT・APTT・検査試薬より続く。
参考記事:PT-INR、ダビガトラン、プラザキサ、ワーファリン、リバーロキサバン、アピキサバン、深部静脈血栓症
ダビガトラン(商品名:プラザキサ)やリバーロキサバン(商品名:イグザレルト)などの新規経口抗凝固薬は、治療域で、PT(PT-INR)やAPTTを有意に延長させます。
プラザキサはAPTTの延長の方が目立つようですが、イグザレルトはPTの延長(PT-INRの上昇)の方が目立つようです。
プラザキサは抗トロンビン薬、イグザレルトは抗Xa薬ですから、どちらも凝固カスケードでは共通系を抑制します。PTあるいはAPTTのどちらををより延長させるかが、薬物によって異なる理由は、管理人には分かりません。私たちが知らない何らかの理由があるのでしょうか。
なお、イグザレルトにおきましても、どの試薬を用いるかによって、同じ検体であってもデータがまるで変わるようです(特にPT-INR)。
このことを了解していないと、臨床の現場で混乱がおきそうです。
前回の記事でも書かせていただきましたが、日本の試薬シェアを配慮した、このような検討結果を是非ともみたいところです。
上図で、INR(Quick type)は、いわゆる普通のPT-INRですが、INR(Owren type)ではアッセイ系に凝固第V因子とフィブリノゲン(第I因子)があらかじめ含まれているようです。
つまり、INR(Owren type)は、日本でのトロンボテストのような検査ではないかと思っています。
用いる試薬によってこんなに成績が異なってしまう理由は、管理人にはよくわかりません。
新規経口抗凝固薬を巡って、いろいろとミステリーがありそうです。
(続く)新規経口抗凝固薬(8): エドキサバン(リクシアナ)とPT-INR へ
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:54| 抗凝固療法