金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年07月16日

出血性素因の凝固因子活性と出血の重症度

まれな出血性疾患において、凝固因子活性と臨床的な出血の重症度を論じた論文を紹介させていただきます。

参考:血友病後天性血友病


「まれな出血性素因における凝固因子活性と臨床的な出血の重症度」

著者名:Peyvandi F, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 10: 615-621, 2012.


<論文の要旨>

European Network of Rare Bleeding disorders (EN-RBD)は、まれな出血性素因(RBDs)における知識と実臨床のギャップを埋めるために設立されました。

著者らは、RBDs症例における凝固因子活性と出血の重症度の関連について検討しました。

EN-RBDに登録された489症例を用いた横断調査が行われました。


その結果、フィブリノゲン、X、XIII、V&VIII複合欠損に関しては、凝固因子活性と出血重症度の間に強い相関がみられました。

V、VII因子欠損症に関しては、弱い相関がみられました。

XIに関しては、相関はみられませんでした。

RBDs症例において出血症状が出なくなるレベルは、フィブリノゲン100mg/dl、V 12U/dL、V&VIII複合欠損43U/dl、VII 25U/dL、 X 56U/dL、 XI 26U/dL、 XIII 31U/dLでした。

さらに、Grade IIIの出血がみられるレベルは、フィブリノゲン・V・XIII感度以下、V&VIII複合欠損15 U/dL、VII 8U/dL、X 10U/dL、XI 25U/dLでした。


RBDsのいずれであるかによって、凝固因子活性と出血重症度の関連は様々でした。

強い相関がみられたのは、フィブリノゲン、X、XIIIのみでした。


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:27| 出血性疾患