金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2012年07月17日

血友病診療の過去・現在・将来

血友病診療の過去、現在、将来に関する論文が、Lancetで報告されましたので、紹介させていただきます。

参考:血友病後天性血友病


「現代の血友病治療」

著者名:Berntorp E, et al.
雑誌名:Lancet 379: 1447-1456, 2012.


<論文の要旨>

血友病治療は、この40〜50年間で充分に向上しました。

1970年代までは、血液凝固因子製剤を自宅で輸注することはできませんでした。

しかし不幸なことに、自己注射が可能になったことでHIVや肝炎ウィルスなどのウィルス感染が広がり、特に1980年代は血友病患者の死亡率が上昇しました。

この20年間で遺伝子組換え製剤の登場といった製剤の改善がみられ、治療の安全性が向上しました。

それに伴い、治療の焦点は製剤を予防的に使用する方向性へとシフトしました。


重症の血友病では長期的な予防治療が推奨されますが、いつ開始するか、至適治療プロトコールはどれか、この高価な治療をどのように中止できるかなど解決すべき問題点が残されています。

治療の主な副作用はインヒビターの発症であり、現在も重要な研究課題となっています。

治療法改善の次のステップは、薬物動態の改善された新しい製剤の開発です。


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:48| 出血性疾患