金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年08月08日

血小板粘着:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)問題の紹介と解説を記事にさせていただきます。

受験生による再現問題のため、実際の問題とは微妙に異なっている可能性がありますが、ご容赦いただければと思います。


血小板の血管への粘着に関わる因子はどれか.

a 第VIII因子
b アンチトロンビンIII
c プロスタグランジン
d von Willebrand(フォン・ビルブランド)因子
e トロンボキサン
 

(概説)

止血においては、まず血小板の粘着が起きます(その際にvon Wiilebrand因子が必要です)(図解:止血・血栓の機序)。

次に、血小板の凝集がみられます(その際にフィブリノゲンが必要です)。

血小板膜表面上で多くの凝固因子が集まり、最終的にトロンビンが形成されると、フィブリノゲンがフィブリンに転換されて止血が完了します。

血液凝固を抑制しているのが、アンチトロンビン(AT)プロテインC(PC)、プロテインS(PS)です。

ATは、トロンビンや活性型第X因子などの活性型凝固因子を抑制します。

活性型PCは、PSを補酵素として、FVa&FVIIIaを抑制します。

なお、PC、PSは、凝固因子FVII、IX、X、II(凝固因子は半減期の短い順に記載)同様に、ビタミンK依存性です(国試既出)。


(項目別)


a FVIIIは、FIXが血小板リン脂質に結合する際に必要です。FVIIIの先天性欠損症が血友病A、FIXの先天性欠損症が血友病Bです。

b アンチトロンビン(AT)は、トロンビンや活性型第X因子などの活性型凝固因子を抑制します。最近は、アンチトロンビンIII(ATIII)ではなく、単にアンチトロンビン(AT)と言うことの方が多いです。

c アラキドン酸から、各種プロスタグランジン(PG)が産生されます。例えば、PGI2(プロスタサイクリン)には、血小板機能抑制作用や血管拡張作用があります。

d 血小板粘着の際に必要です。

e トロンボキサンは、プロスタグランジン同様にアラキドン酸から形成されます。トロンボキサンA2には、血小板機能亢進作用や血管収縮作用があります。


(正答)
   d

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:59| 医師国家試験・専門医試験対策