金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年08月26日

金沢大学医学部統合問題:出血性素因

金沢大学医学部卒業前の統合問題(血液)平成23年度:問題紹介です。

臨床問題

75歳の男性。抜歯時に止血困難をきたしたため、精査目的に来院した。

身体所見では、腹部に拍動性腫瘤を触知し、bruitを聴取した。また、抜歯部位からの出血が持続していた。

血液学的検査:白血球 6,800、赤血球 407万、Hb 13.6g/dl、血小板 5.6万、ALT 32単位(基準35以下)、クレアチニン 0.8mg/dl、LDH 235単位(基準115-245)

PT 16.3秒(基準10〜14)、APTT 35.8秒(基準対照32.2)、フィブリノゲン68 mg/dl(基準200〜400)、FDP 62μg/ml(基準10以下)、CRP 0.2 mg/dl(基準0.3以下)、PIVKA-IIは陰性。

本症例における血液検査所見として誤ったものはどれか。 


( )a プラスミノゲンの低下

( )b プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)の上昇

( )c α2 プラスミンインヒビター(α2 PI)の上昇

( )d  Dダイマーの上昇

( )e プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)の上昇


【 予測正答率】 95 %


【作問のねらい】

腹部大動脈瘤に合併した播種性血管内凝固症候群(DIC)(線溶亢進型DIC)の症例です。

DICでは、Dダイマー、F1+2、TAT、PICの上昇がみられます。プラスミノゲンやα2PIは低下します。

【 正答】 c


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:48| 医師国家試験・専門医試験対策