金沢大学医学部統合問題:習慣性流産、下肢腫脹
金沢大学医学部卒業前の統合問題(血液)平成23年度:問題紹介です。
臨床問題
36歳女性。流産の既往が4回あり。現在内服中の薬物なし。
本朝の起床時に左下肢の腫脹に気がついた。疼痛による歩行困難もみられるようになったため来院した。
血液学的検査
白血球 9,200、赤血球 348万、Hb 12.8g/dl、血小板 8.6万、ALT 19単位、クレアチニン 0.7mg/dl、LDH 220単位(基準176〜353)
PT 11.7秒(基準10〜14)、APTT 69.2秒(基準対照32.2)、FDP 17μg/ml(基準10以下)、CRP 4.5 mg/gl(基準0.3以下)。
この患者にみられる検査所見として誤っているのはどれか。1つ選べ。
( )a 赤血球破砕像
( )b 抗カルジオリピン抗体陽性
( )c 梅毒検査の生物学的偽陽性(BFP)
( )d ループスアンチコアグラント陽性
( )e トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)上昇
【 予測正答率】 98 %
【作問のねらい】
本症例は、習慣性流産の既往を有する女性で、血小板数低下とAPTTの延長をきたしており、抗リン脂質抗体症候群が強く疑われます。
左下肢の腫脹、FDP 上昇は、深部静脈血栓症(DVT)を発症したためと考えられます。
DVTのため、FDP同様にDダイマーやTATは上昇しているものと考えられます。
抗リン脂 質抗体症候群と関連して、抗カルジオリピン抗体およびループスアンチコアグラントは陽性であって良いです。
BFPの所見がみられることがあります。
赤血球破砕像は、TTPなどで見られます。
【 正答】 a
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:00| 医師国家試験・専門医試験対策