金沢大学医学部統合問題:紫斑
金沢大学医学部卒業前の統合問題(血液)平成23年度:問題紹介です。
臨床問題
42歳女性。全身皮膚の紫斑のため来院した。
現病歴:2週間前から右季肋骨部痛が出現するようになり、近医にて抗生剤を含む投薬を受けた。5日前から四肢、胸腹部などに、紫斑がみられるようになった。本朝から紫斑が広範囲となってきたため来院。
既往歴:特記すべきことなし。
現 症:意識は清明。身長155cm、体重48kg。体温36.2℃。脈拍84/分、整。血圧120/78 mmHg。黄疸あり。四肢、胸腹部に紫斑が広範囲にみられる。心音、呼吸音異常なし。腹部は平坦で、肝、脾、腎を触知しない。右季肋骨部痛あり。下肢に浮 腫を認めない。
検査所見:赤血球383万、Hb11.8g/dl、白血球12,700、血小板21.1万、PT 23.6秒(基準10〜14)、APTT 39.2秒(基準対照32.2)、フィブリノゲン450 mg/dl(基準200〜400)、FDP 6μg/ml(基準10以下)、ALT 35単位、LDH 239単位(基準176〜353)、クレアチニン 0.7 mg/dl 、CRP 8.2 mg/dl(基準0.3以下)。PIVKA II陽性。腹部エコー検査で胆石が確認された。
本症例の検査所見として、正しいのはどれか。1つ選べ。
( )a 幼若血小板比率の低下
( )b プラスミノゲンの低下
( )c 血液凝固第VII因子の低下
( )d 血液凝固第VIII因子の低下
( )e アンチトロンビン活性の低下
【 予測正答率】 100%
【作問のねらい】
本症例は、胆石に抗生剤投与を行い、ビタミンK欠乏症になったものと考えられます。
PT延長、PIVKA II陽性よりビタミンK欠乏症の確定診断が可能です。
第VII因子はビタミンK依存性蛋白ですが、プラスミノゲン、第VIII因子やアンチトロンビンは異なります。
幼若血小板比率は、ITPで上昇します。
【 正答】 c
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:08| 医師国家試験・専門医試験対策