金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2012年09月10日

内科学卒業試験(血液内科学):出産時の大出血

平成24年度 内科学卒業試験(BSL評価試験)血液内科学
平成24年9月3日(月)

問題の紹介と正答の記事を続けさせていただきます。


14.    20歳女性.

幼少時よりしばしば鼻出血を認めていた.2ヶ月前の出産時に大量出血をきたし止血が困難であったため、近医産婦人科より紹介された.

血液学的検査:白血球 7,100、赤血球 358万、Hb 11.9g/dl、血小板 24.5万、PT 11.0秒(基準10〜14)、APTT 71.2秒(基準対照32.2)、FDP 3μg/ml(基準10以下)、出血時間は著明に延長.妹にも同じ疾患があった.

この患者に対する止血治療として正しいのはどれか.一つ選べ.

a.    濃厚血小板(PC)

b.    新鮮凍結血漿(FFP)

c.    遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa:ノボセブン)

d.    DDAVP(デスモプレシン)

e.    遺伝子組換え第VIII因子製剤(rFVIII)

 

(解説)

先天性の出血性素因、粘膜出血、APTTと出血時間の延長から、von Willebrand病と考えられます。

a.  無効です。

b.  無効です。

c.  第VIII因子インヒビターに対して用いられます。

d. von Willebrand病の止血治療として有効です。血漿由来第VIII因子製剤(コンファクトF)も有効です。

e. 遺伝子組換え第VIII因子製剤(rFVIII)は、血漿由来第VIII因子製剤とは異なりVWFが含有されていませんので無効です。


(正答)  d. 

 

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
 

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:29| 医師国家試験・専門医試験対策