後天性血友病Aの免疫抑制療法
論文紹介をさせて続けさせていただきます。
「後天性血友病Aに対する免疫抑制(EACH2の結果)」
著者名:Collins P, et al.
雑誌名:Blood 120: 47-55, 2012.
<論文の要旨>
後天性血友病(AHA)は、第VIII因子に対して自己抗体が出現する自己免疫疾患です。
インヒビターが消失するまでは重症かつ致命的な出血の懸念があり、ガイドライン上も診断直後からの免疫抑制療法が推奨されています。
しかし、至適な治療法は不明であるため、前方視的にEACH(European Acquired Haemophilia Registry)に登録された331症例のデータを解析しました。
その結果、ステロイドにサイクロフォスファマイドを併用する方法が、より安定した安全寛解率(CR:インヒビターが消失し、第VIII因子活性が70IU/dL以上になり、免疫抑制療法が中止可能で定義)70%を示しました。
ステロイド単剤のCRは48%、リツキシマブを基本とした治療のCRは59%でした。
年齢、性別、第VIII因子活性、インヒビター力価、基礎疾患を一致させた傾向スコア適合分析では、安定した寛解は、ステロイド単独よりも、ステロイドとサイクロフォスファマイドの併用で得られました(オッズ比3.25;P<0.003)。
CRまでの中央値は、単独、併用療法のいずれでも約5週間でした。
リツキシマブを基本とした治療では、CRまでの期間は約2倍かかりました。
イムノグロブリンの投与は経過に対する改善効果はみられませんでした。
ファーストライン治療に失敗した症例で、セカンドライン治療に成功したのは、ファーストライン治療の種類の如何にかかわらず約60%でした。
CRとなりやすかどうかは、基礎疾患とは無関係でしたが、インヒビター力価やFVIII活性に依存していました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:56| 出血性疾患