金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年10月18日

出血性素因の口腔出血とAnkaferd blood stopper (ABS)

論文紹介をさせて続けさせていただきます。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa


出血性素因を有した小児の口腔出血に対するABS」

著者名:Leblebisatan G, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 23: 494-497, 2012.


<論文の要旨>

Ankaferd blood stopper (ABS)は、トルコにおいて皮膚出血や粘膜出血の止血目的に局所において使用される止血剤です。

通常、外傷、創傷、小手術、大手術時の出血に対して局所的に使用されます。


著者らは、出血性素因を有した小児12症例に対して、口腔出血に対してABSを使用しました。ABSは、15回の口腔出血のエピソードに対して処方されました。

その結果、1症例を除いて良好に止血コントロールすることが可能でした。

以上、ABSは、出血性素因を有する口腔出血に対して有効と考えられました。


<ABS>
トルコの薬草剤(5種類の薬草を含有)で、トルコで伝統的に用いられています。  

通常の凝固カスケードに依存せずに血栓形成をきたすため、凝固異常を有する場合にも効果が期待されます。赤血球凝集を通して数秒で止血作用を発揮するとされます。

消化管出血、食道静脈瘤からの出血に対して有効とする欧文論文もみられます。

なお、本記事執筆時点で、PubMedの検索ではAnkaferdに関する93編の論文が存在しました。

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
 

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:35| 出血性疾患