アプタマー(BAX499)のTFPI抑制と血友病の凝固能改善
論文紹介をさせて続けさせていただきます。
「アプタマー(BAX 499)によるTFPIの抑制は血友病患者の全血および血漿の凝固能を改善させる 」
著者名:Gorczyca ME, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 10: 1581-1590, 2012.
<論文の要旨>
組織因子系路インヒビター(TFPI)は、TFによる凝固の重要なインヒビターですが、血友病治療の観点からも注目されています。
アプタマーであるBAX499(以前はARC19499と呼称されました)は、TFPIを特異的に抑制することにより止血能を改善させる目的で開発されました。著者らは、凝固能向上に関して、BAX499濃度依存性を検討しました。
全血凝固能は、ROTEM(rotational thromboelastometry)とTEG(thromboelastography)で定量され、乏血小板血漿におけるトロンビン形成能はCAT(calibrated automated thrombogram)で評価されました。
対象は、血友病A55例、血友病B11例、後天性血友病A1例、健常人37例でした。
その結果、BAX 499は濃度依存性に血友病患者の凝固能を改善しました。重症血友病A患者の検体であっても、健常人の凝固プロフィールと同様になるまでに改善しました。
以上、BAX 499は、各重症度の血友病A&B患者からの全血および血漿のex vivo凝固パラメータを改善しました。後天性血友病でも同様の改善がみられました。
TFPIを抑制することは、血友病患者の止血治療法として有効な治療戦略であることを支持する結果が得られました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:49| 出血性疾患