2012年10月22日
XaとTFPIの相互作用抑制抗体の止血効果(血友病モデルの検討)
論文紹介をさせて続けさせていただきます。
「XaとTFPIの相互作用を抑制するモノクローナル抗体の止血効果(ウサギ血友病モデルでの検討)」
著者名:Hilden I, et al.
雑誌名:Blood 119: 5871-5878, 2012.
<論文の要旨>
血友病では、第VIII因子(FVIII)または第IX因子(FIX)による補充療法が行われます。
今後の治療法改善の方向性としては、インヒビターを発症しにくく、皮下注投与や半減期の長い製剤の開発が挙げられます。
組織因子経路インヒビター(TFPI)は、FVIIa/TF/FXaを抑制することで凝固開始を抑制します。
TFPIを抑制することで、血友病におけるトロンビン形成を促進する可能性があります。
著者らは、TFPIに親和性の高い(KD=25pM)モノクローナル抗体であるmAb2021について検討しました。
血友病の全血および血漿において、mAb2021はTFPIに効率よく結合し、FVIIa/TF/FXaを阻止して凝血塊形成能を改善させました。
ウサギ血友病モデルでは、mAbの静注または皮下注は、有意に出血時間を短縮させました。
このモデルにmAb2021を1回静注しますと、出血時間の是正効果は少なくとも7日間持続しました。
以上、mAb2021によるTFPIの抑制は、血友病に対する新しい代替治療になるものと考えられました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:05| 出血性疾患