金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年10月25日

VWD(2B型)に対する抗VWFアプタマーARC1779

論文紹介をさせて続けさせていただきます。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa


「VWD(2B型)に対する抗VWFアプタマーARC1779は、VWFレベルと血小板数を上昇させる 」

著者名:Jilma SP, et al.
雑誌名: Thromb Haemost 108: 284-290, 2012.


<論文の要旨>

2B型のvon illbrand病(VWD)(血小板膜GPIbに対する結合能の異常亢進症)に対してDDAVPを投与しますと血小板数が低下しますが、von illbrand因子(VWF)に対するアプタマーARC1779を用いてVWFの反応性を抑制しますと血小板数低下を阻止できます。

このため、著者らはARC1779はVWF活性を上昇させ血小板低値を是正するのではないかと仮説を立てました。

血小板数低値を伴う2B型VWDの3症例に対して、ARC1779 0.23mg/kgを静注してその後4μg/kg/minで72時間持続点滴しました。


ARC1779の血漿濃度は76μg/mL(59-130)まで上昇し、遊離型VWFA1ドメインは速やかに低下しました。

VWF/FVIII活性は、ARC1779投与開始12時間後には上昇して、投与終了時点で最高レベルとなりました。

投与中止後の経過観察で前値に復しました。

VWFリストセチン活性(VWF:RCo)は、投与8時間後に10倍になりましたが、この時点ではVWF抗原量とFVIIIの上昇は比較的軽度でした(それぞれ、5倍、4倍)。

重要な所見として、血小板数は40×109/L(38-58×109/L)より最大146×109L(107-248×109/L)に上昇しました。


以上、2B型VWD症例において、ARC1779はVWF/FVIII活性を著明に上昇させ、血小板数も上昇、正常化させるものと考えられました。

ARC1779の体内での効果はすぐれていると考えられました。

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:32| 出血性疾患