2012年12月16日
第IX因子インヒビター:総説論文の紹介
論文紹介です。
「第IX因子インヒビター」著者名:鈴木隆史
雑誌名:日本血栓止血学会誌 23: 494-505, 2012.
<論文の要旨>
第IX因子インヒビターは、先天性第IX因子欠乏症(血友病B)患者に発生する同種抗体としての、いわゆる血友病Bインヒビターと、自己抗体として非血友病者に発生するインヒビター(後天性血友病B)に分けられます。
先天性第IX因子欠乏症(血友病B)は第IX因子製剤の補充療法中の血友病B患者の1.5〜3%に発生しますが、これは血友病Aの20〜30%の発生率にくらべて極めて低いです。
その発生と時期を同じくして第IX因子タンパクに対するアレルギー、アナフィラキシー反応がみられることも血友病Bインヒビターの特徴です。
第IX因子インヒビター発生の基礎ならびに臨床研究は、第VIII因子インヒビターに比べてその症例数の少なさゆえに遅れている印象があります。
この総説論文では第IX因子インヒビターの臨床とインヒビター発生におけるさまざまな危険因子と治療(止血療法、免疫寛容療法など)について、最近の知見を交えながら解説されています。
優れた総説論文ですので、是非とも直接に論文を見ていただきたいと思います。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12| 出血性疾患