金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2012年12月18日

出血性素因の臨床検査:PT、APTT

論文紹介です。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa


出血性素因の臨床検査」

著者名:Hayward CP, et al.
雑誌名: Semin Thromb Hemost 38: 742-757, 2012.


<論文の要旨>

出血性素因の検査には、しばしばPTINR)、APTT、フィブリノゲン、トロンビン時間(TT)が含まれています。

著者らは出血傾向の精査目的で受診した患者が、これらの検査でどの程度が診断されるか検討しました。


出血症状のために血液専門医を受診した者のうちで凝固異常は稀であり、またAPTTとTTは臨床的意義を有さない異常を多く検出しました。

各検査の特異度は88〜100%と高かったですが、臨床的意義を有する異常検出の感度は1.0〜2.1%と低かったです。

 一方、von Willbrand病(VWD)スクリーニングのための検査の感度は67%、光透過血小板凝集能(LTA)の検査感度は26%でした。


以上、PT(INR)、APTT、フィブリノゲン、トロンビン時間(TT)からなる凝固検査の出血性素因診断感度は3.7%であり、VWDスクリーニングまた含めた検査セット8.5%、VWDスクリーニングとLTAまで含めた検査セット30%と比較して低いものと考えられました。


出血性素因の診断にあたっては上記の点を念頭におくべきと考えられた。


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:30| 出血性疾患