呼吸器グループ紹介(2)金沢大学第三内科
呼吸器グループ紹介(1)金沢大学第三内科より続く。
呼吸器グループ(2) 肺癌グループ
21世紀になって肺癌の薬物療法は飛躍的な変化を遂げました。
その第一が2002年に臨床応用された上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor, EGFR)阻害剤のゲフィチニブでしょう。
ゲフィチニブはEGFR遺伝子変異陽性の肺癌には著効を示すが、陰性の症例にはほとんど効果がないことが、我々のグループも参画したIPASS試験から明らかになっています。
一方で目覚ましい腫瘍縮小効果が得られても、1年前後ほどで耐性化し、次の治療法を選択しなければなりません。
酒井先生はこの問題を基礎的な観点から耐性克服に挑戦し、cMetという蛋白の過剰発現が原因でEGFR阻害剤が耐性となった肺癌細胞株を用いて、細胞障害性抗がん剤であるイリノテカンの標的分子のTopoisomerase Iが過剰発現していることを見出し、イリノテカンが高感受性になることを報告しました(Journal of Thoracic Oncology: 2012, 7. 1337–1344)。
この研究成果をもとに、現在黒川先生は、このcMet蛋白発現とTopoisomerase I蛋白発現の関連を普遍化すべく検討していて、近々結果が出てくることと思います。
イリノテカンは非小細胞肺癌のみならず、小細胞肺癌でもよく用いられています。
むしろ小細胞肺癌でこそ使用頻度が多く、cMet蛋白とTopoisomerase I蛋白発現の関連は興味深いところです。
池田先生はこの点に着目し、小細胞肺癌の生検材料を用いてcMetとTopoisomerase I蛋白発現の関連を解析しました。
この解析からcMetの活性状態(リン酸化Met)とTopoisomerase I発現の間に関連のあることを証明しました。
面白いことにcMetは小細胞肺癌の予後因子であることも同定されました。
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<リンク>
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:05| 呼吸器内科