後天性血友病の長期予後
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
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「後天性血友病の長期予後—単施設82症例の中間報告—」
著者名:Zeitler H, et al.
雑誌名:Atheroscler Suppl 14: 223-228, 2013.
<論文の要旨>
後天性血友病(AH)は、致命的な出血をきたし死亡率7.9〜22%のまれな疾患です。
AHの発症頻度は低いために無作為化試験を行うことはできませんが、長期間にわたる観察的研究は興味あるところです。
著者らの施設では、1994年以来AH82症例(年齢中央値63.8歳;28-89歳)の治療を行ってきました。これらの症例の臨床所見、治療法、長期予後について解析しました。
その結果、60例(73%)の症例では致命的な出血症状が初発症状でした。
これらの重症例では、Bonnプロトコール(免疫吸着療法、IVIG、免疫抑制療法、第VIII因子製剤の併用)による免疫抑制療法が行われており、治療期間中央値16日後における治療反応率は93%でした。
基礎疾患を有するAH(AHSAC)では、固形癌、リンパ腫、手術、自己免疫性疾患が多いという結果でした。
重症でないAH16症例においては、標準的免疫抑制療法により中央値3.9ヶ月後に11例では成功し、5症例では不反応でしたがBonnプロトコールによる治療に移行したところ反応しました。
いずれの治療群でも出血関連死はみられませんでした。
出血に対してバイパス製剤による追加治療が必要となった4症例で致命的な血栓症がみられました。
特発性AHは、AHSACと比較して、より重症で強力が治療が必要になる傾向にありました。
AHSACでは、基礎疾患の病態がインヒビター発症に大きく影響を与えているため、特発性AHとAHSACの鑑別は治療方法を考えていく上でも重要と考えられました。
<リンク>
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:41| 出血性疾患