第VII因子欠損症の補充療法
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
「第VII因子欠損症における出血エピソードに対する補充療法 」
著者名:Mariani G, et al.
雑誌名:Thromb Haemost 109: 238-247, 2013.
<論文の要旨>
先天性第VII因子欠損症患者の臨床症状は多彩です。
著者らはSeven Treatment Evaluation Registry(STER)のデータを用いて、自然出血または外傷性出血に対する治療を評価しました。
75症例(女性41例;第VII因子活性は1%未満〜20%)における101回の出血が解析されました。
出血部位は、関節内出血(n=30)、筋肉内•皮下血腫(n=16)、鼻出血(n=12)、歯肉出血(n=13)、過多月経(n=16)、中枢神経系(CNS;n=9)、腎臓出血(GI;n=2)、その他の出血(n=13)でした。
評価可能な93回出血エピソードのうち76回は遺伝子組換え活性型第VII因子(rFVIIa)、8回はFFP、7回は血漿由来FVII(pdFVII)、2回はプロトロンビン複合体製剤が使用されていました。
補充療法を1日行うことで、関節内出血は激的に改善し、筋肉内•皮下血腫、鼻出血、歯肉出血の治療にも成功しました。
過多月経に対しては複数回の補充療法で軽快した症例もありました。
血栓症の副作用はみられませんでした。
反復して補充療法の行われた症例(rFVIIaとpdFVIIの1例ずつ)ではインヒビターが出現しました。
先天性第VII因子欠損症においては、ほとんどの出血は中等量rFVIIa(中央値60μg/kg)の1日投与でコントロールされました。
最重症の出血(CNS、GI)に対しては、短期間あるいは長期間の予防投与が適切と考えられました。
<リンク>
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:03| 出血性疾患