VWD&血友病Aと遺伝子組み換えIL-11
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
「デスモプレシンに反応しないVWDと軽症〜中等症血友病Aに対する遺伝子組み換えIL-11の効果 」
著者名:Ragni MV, et al.
雑誌名:Thromb Haemost 109: 248-254, 2013.
<論文の要旨>
デスモプレシン(DDAVP)は、軽症von Willebrand病(VWD)に対しての治療選択肢になっていますが、20%の症例はDDAVPに反応しません。
反応のみられる80%の症例でも血管内皮貯蔵のvon Willebrand因子(VWF)が枯渇するために効果は一過性です。
著者らは、遺伝子組換えインターロイキン-11(rhIL-11、NeumegaR)の、DDAVPに不反応またはアレルギーを有するVWD、あるいは軽症〜中等症血友病A(HA)に対する安全性と有効性を検討するための単施設第II相臨床試験を行いました。
対象は9症例(VWD4例、HA5例;年齢中央値26才<22〜51才>)です。
VWDに対してrhIL-11を投与したところ、48時間後よりVWF:RCoの上昇がみられ始めて、4日間持続しました。
4日後におけるVWF:RCoは1.54倍(VWD1.30倍、HA1.73倍)でした。
同様に、FVIII:Cも48時間後より上昇がみられれ始めて、4日後におけるFVIII:Cは1.65倍(VWD1.86倍、HA1.48倍)でした。
rhIL-11投与に伴う有害事象としては、体液貯留、紅潮、結膜充血がみられました。
1例では3度の一過性低ナトリウム血症がみられましたが、糖尿病による高血糖のため過飲水したことが原因であり、水分制限により軽快しました。
以上、rhIL-11は、DDAVP不反応(またはアレルギー性)VWD4例中2例でVWF活性を上昇させ、軽症〜中等症血友病5例中4例のFVIII活性を上昇させたたため、臨床応用の可能性があると考えられました。
<リンク>
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12| 出血性疾患