幼若血小板比率(IPF)(2) 疾患/病態
幼若血小板比率(IPF)(2) 異常となる病態・疾患
幼若血小板比率(IPF)とはより続く。
1) IPFの評価
IPFは高値かどうかで評価します。IPF低値の臨床意義は不明です。
2) 血小板減少性疾患の鑑別
IPFは血小板減少性疾患の鑑別診断に有用です。
IPF高値なら、血小板消費亢進の病態(ITP、血栓性血小板減少性紫斑病、溶血性尿毒症症候群、播種 性血管内凝固症候群、脾機能亢進症、慢性肝炎など)が疑われます。
ITPではステロイドなどの治療に反応するとIPFは低下します。
またITPに対するトロンボ ポイエチンレセプター作動薬エルトロンボパグ治療開始10日目の幼若血小板数は、治療反応性予測に役立ちます。
Barsam SJ, et al. Platelet production and platelet destruction: assessing mechanisms of treatment effect in immune thrombocytopenia. Blood. 2011;117: 5723-32.
IPFは血小板数回復に先行して増加します ので、化学療法や造血細胞移植後の血小板回復予測、血小板輸血適応の判断にも有益です。
骨髄検査など侵襲的検査が難しい新生児血小板減少症の鑑別診断や 経過観察にもIPF測定は有用です。
3) 血小板減少性疾患以外のIPF活用
血小板増多性疾患においてIPF高値は血栓症の危険因子です。
また、抗血小板薬の効果判定にも役立ちます。
急性冠動脈疾患の急性期はIPFが著増し、IPF 増加と冠動脈再閉塞との関連が示唆されています。
感染症があるとIPF は若干増加します。これを利用し、IPFを細菌感染症の早期診断に利用するという試みもあります。
JAK2変異陽性骨髄増殖性腫瘍は陰性例よりIPFが高いとの 報告があり、JAK2変異の予測にも役立ちます。
Panova-Noeva M, et al. JAK2V617F mutation and hydroxyurea treatment as determinants of immature platelet parameters in essential thrombocythemia and polycythemia vera patients. Blood. 2011; 118: 2599-601.
4) 骨髄異形成症候群におけるIPF
骨髄異形成症候群(MDS)では、IPFと血小板数の相関はありません。
この原因として、血小板減少が軽い割にIPFが高値となる「IPF高比率MDS」の存在 があります(3, 4)。
Sugimori N, et al. Aberrant increase in the immature platelet fraction in patients with myelodysplastic syndrome: a marker of karyotypic abnormalities associated with poor prognosis. Eur J Haematol. 2009; 82: 54-60.
柴山正美, et al. 骨髄異形成症候群の幼若血小板高比率は7番染色体異常を含む予後不良染色体異常の存在を示唆する. 日本検査血液学会雑誌. 2008; 9: 136-42.
血小板数5万/µL以上かつIPF 10%以上をIPF高比率MDSと定義した場合、MDSの約20%に相当します。
IPF高比率MDSは、7番染色体異常などの染色体異常や血小板・骨髄巨核 球の形態異常が多いです。
(続く)幼若血小板比率(IPF)(3) 注意点へ
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:56| 出血性疾患