CBT(コアカリ):血液凝固因子カルボキシル化
CBT(コアカリ)血栓止血領域の問題紹介と解説です。
血液凝固因子の炭酸化(カルボキシル化)に関与するのはどれか.
a ビタミンA
b ビタミンD
c ビタミンE
d ビタミンK
e 葉酸
【ポイント】
血液凝固因子のなかには、活性を有するためにはビタミンKを必要とするビタミンK依存性凝固因子が4つ存在します。
ビタミンKは、活性を有していないビタミンK依存性蛋白内のグルタミン酸残基(Glu)を、活性のあるγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)へ転換するカルボキシル化反応において、補酵素として作用しています。
そのため、ビタミンK欠乏状態では、このカルボキシル化反応が進まず、ビタミンK依存性蛋白は活性を有することができません。
【選択肢について】
a 関与しません。
b 関与しません。
c 関与しません。
d 血液凝固因子の炭酸化(カルボキシル化)に関与します。
e 関与しません。
【正答】 d
【感想】
血液凝固因子の炭酸化(カルボキシル化)がCBT(コアカリ)で出題されるとはビックリ仰天です。
血液凝固因子のカルボキシル化とはどういう意味か答えられる臨床医は、100人中1人もいないような気がいたします。
管理人はCBTの意義をあまり理解していないのですが、臨床実習を行う上で必要な知識の確認ということでしたら、この設問は学生さんに可哀想な気がいたしました。
<ビタミンK依存性蛋白>
1) 血液凝固因子:第VII、IX、X、II因子(半減期の短い順番です)。
特に、第VII因子が最も半減期が短い点は重要です。
ビタミンK欠乏症のスクリーニングやワルファリン(ビタミンKの拮抗薬)のコントロールには、APTTではなくPTを用いているのは、PTは半減期の短い第VII因子も反映しているためです。
2) 血液凝固阻止因子:プロテインC、プロテインS。
この二つの血液凝固阻止因子がビタミンK依存性であることを知らないと解答できない問題が、2年連続国試で出題されています。
3) 骨代謝関連蛋白:オステオカルシン。骨粗鬆症の薬物の一つに、ビタミンK製剤もあります。
<リンク>
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:19| 医師国家試験・専門医試験対策