播種性血管内凝固症候群(DIC)の検査所見
平成25年度血液内科学系統講義試験<細胞移植学(血液内科)>
播種性血管内凝固症候群(DIC)の記載として正しいものはどれか。1つ選べ。
a. 急性前骨髄球性白血病(APL)に合併したDICでは、フィブリノゲンの低下は軽度である。
b. 羊水塞栓に合併したDICでは、フィブリノゲンが著減する。
c. 敗血症に合併したDICでは、血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)は上昇しない。
d. 敗血症に合併したDICでは、血中可溶性フィブリン(soluble fibrin:SF)が低下する。
e. 常位胎盤早期剥離に合併したDICでは、血中プラスミノゲンが著増する。
(解説)
・急性前骨髄球性白血病(APL)に合併したDICでは線溶活性化が著しく(線溶亢進型DIC)、フィブリン形成に伴うフィブリノゲンの消費のみならず、プラスミンによるフィブリノゲン分解も加わり、フィブリノゲンは著減します。
・羊水塞栓では大量の組織因子が血中に流入して、線溶亢進型DICを発症します。フィブリノゲンは著減します。
・DICの本態は全身性持続性の著しい凝固活性化状態(過剰のトロンビンが形成されている状態)です。どのような基礎疾患のDICであっても、TATは上昇します。
・どのような基礎疾患のDICであっても、TAT同様に、血中可溶性フィブリン(soluble fibrin:SF)は上昇します(参考:凝固活性化マーカー)。
・常位胎盤早期剥離では、線溶亢進型DICを発症します。大出血をきたします。線溶活性化に伴い、プラスミノゲンからプラスミンへの転換が亢進しているために、プラスミノゲンは消費性に低下します。
(解答)b
<リンク>
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:02| 医師国家試験・専門医試験対策