金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年09月10日

後天性第XIII因子欠損症(インヒビター陰性)

論文紹介です。

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「重症の硬膜下血腫をきたした後天性第XIII因子欠損症(インヒビター陰性)

著者名:Kawano H, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinoysis 24: 638-641, 2013.


<論文の要旨>

後天性に第XIII因子(FXIII)が低下する病態は多く知られていますが、出血症状をきたすことはまれです。

しかし、FXIIIの高度低下は致命的な出血をきたします。


FXIIIに対してインヒビターが出現して出血症状をきたす病態は最近注目されていますが、インヒビターが陰性の場合についても検討されるべきです。


著者らは、FXIIIが著減して重症の硬膜下血腫をきたした85歳男性を症例報告しています。


患者は、代償性DIC、慢性腎不全、腹部大動脈瘤、右腎癌も合併していました。

血腫除去術を行ったにもかかわらず、急性硬膜下血腫をきたして再手術が必要となりました。


クロスミキシング試験、ドットプロット解析ではFXIIIに対するインヒビターは検出されませんでした。

FXIIIの低下は主としてDICおよび手術に伴う消費のためではないかを考えられました。


このような症例に対してはFXIII濃縮製剤が有効であるために、説明のできない高度の出血に遭遇したら、インヒビター陰性の後天性FXIII欠損症も鑑別にあげるべきと考えられました。



<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:18| 出血性疾患