2013年12月30日
先天性出血性素因患者とHCV感染
論文紹介です。
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「先天性出血性素因を有する患者におけるHCV感染の長期間経過観察」
著者名:Fransen van de Putte DE, et al.
雑誌名:J Hepatol 60: 39-45, 2014.
<論文の要旨>
著者らは先天性出血性素因患者(IBD)において、HCV感染による肝関連有害事象の長期問題追跡を行いました。
オランダおよび英国におけるHCV感染IBD 863症例を対象に後方視的検討を行いました。
HCV感染からの追跡期間の中央値は31年でしたが、30%の症例は35年超の観察期間となりました。
19%症例では自然にHCVが消失しましたが、81%の症例では慢性HCV感染症となりました。
慢性HCV感染症700症例のうち90例(13%)では末期肝疾患(ESLD)を発症しました。
3%では肝細胞癌(HCC)の診断がなされ、そのうち41%は最近6年間で発症しました。
ESLD発症の決定因子は、感染した年齢(1年毎にHR1.09)、HIV重複感染(HR 10.85)、アルコール多飲歴(HR4.34)、抗ウイルス治療の成功(HR0.14)でした。
現在も生存中の487症例のうち、49%では抗ウイルス療法が行われていませんでした。
HCVに感染したIBDの相当数患者が30年以上の経過でESLDを発症していました。
HCC発症も重大な問題です。
将来のESLD発症を抑制するために、伝統的な抗ウイルス療法も新しい抗ウイルス療法も有効な選択肢になると考えられました。
<リンク>
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:26| 出血性疾患