2013年12月31日
第VIII因子活性測定法の違いと軽症血友病A診断
論文紹介です。
関連記事:APTT、血友病、後天性血友病、第V因子インヒビター、第VIII因子インヒビター、PT-INR
「測定法の違いによる軽症血友病A診断の問題点」
著者名:Bowyer AE, et al.
雑誌名:Haematologica 98: 1980-1987, 2013.
<論文の要旨>
第VIII因子活性は、1段法、2段法、発色合成基質法の3つの方法で測定可能です。
軽症血友病A患者の多くは、どの測定法であっても同じ結果となります。
しかし、約30%の患者さんでは測定方法により異なった結果が得られます。
著者らは自施設において、測定法の違いにより差が出る症例がどの程度存在するかその頻度を検討しました。
対象は軽症血友病A 84症例です。
1段法と2段法の間に2倍以上の差がある場合を乖離例と定義しました。
その結果、乖離例は31%にみられ、12%の例では2段法の方が低値であり、19%の例では1段法の方が低値でした。
発色合成基質法は2段法に代わる適切な測定法であることが示されました。
トロンボエラストメトリーは、血友病診断としては低感度でした。
較正自動トロンボグラフィーは、2段法や発色合成基質法の結果と一致しました。
今日使用されているガイドラインでは軽症血友病Aの診断のための測定法を記載していないため、4%の症例が1段法では血友病と診断されません。
血友病Aの可能性のある症例に遭遇したら、1段法と発色合成基質法(または2段法)の両測定を行うべきです。
<リンク>
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:35| 出血性疾患