新生児、小児、成人と止血能
論文紹介です。
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「年齢と止血能の関連について」
著者名:Attard C, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 11: 1850-1854, 2013.
<論文の要旨>
新生児、小児、成人の間には止血能の差があると考えられています。
成人の止血生理に対する知識と比較して、新生児や小児における知識は不充分です。
これまでに止血関連蛋白を年齢毎に検討した報告はほとんどありません。
幼児や小児期の止血異常の予防、診断、治療のためには、止血関連蛋白の年齢に伴う変動を理解しておく必要があります。
対象は健常人120例で、内訳は新生児(生後1日、3日)、生後28日〜1年、1〜5歳、6〜10歳、11〜16歳、成人です。
検討した因子は、第II, V, VII, VIII, IX, X, XI,XII, XIII, プラスミノゲン, プロテインC、総&遊離型プロテインSです。
これらのうち10蛋白については、新生児と成人間で有意に異なっており、この差異は小児期間中継続していました。
以上、凝固関連蛋白の多くは年齢により変動するものと考えられました。
(論文から一部結果抜粋)
Day1, 3, 1〜5歳, 6〜10歳, 成人の順
VII(%):38, 42, 68, 72, 84(漸増)
IX(%):25, 33, 48, 55, 66(同上)
X(%):47, 57, 123, 121, 130(同上)
PC(%):27, 30, 66, 70, 82(同上)
総PS(%):10, 12, 33, 36, 50(同上)
VIII(%):102, 85, 94, 93, 84(不変)
<リンク>
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:22| 出血性疾患