慢性ITPに対するエルトロンボパグ長期間投与
論文紹介です。
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「治療歴のある慢性ITPに対するエルトロンボパグ3年間投与」
著者名:Katsutani S, et al.
雑誌名:Int J Hematol 98: 323-330, 2013.
<論文の要旨>
エルトロンボパグ(E薬)は、免疫性血小板減少症(ITP)に対して許可されたトロンボポエチン受容体作動薬です。
著者らは、E薬6ヶ月間の初期臨床試験の終了した慢性ITPの日本人患者19例について、3年間投与の安全性、忍容性、有効性について検討しました。
患者は、初期臨床試験終了時のE薬投与量(12.5,25,50mg)で1日1回の内服を継続しました。
血小板数5〜20万を維持できるように、E薬投与量の調整や中断は主治医判断に委ねられました。
主要評価項目は、E薬長期間投与の安全性と忍容性です。
投与期間の中央値は27.5(9.9〜32.3)ヵ月間でした。
有害事象出現率は短期間投与時の初期臨床試験と同様であり、治療中断となった例はありませんでした。
重篤な有害事象の報告は9件でした。
血小板数の中央値は、E薬投与1週間後より上昇がみられはじめ、観察期間中5万以上を維持しました。
出血事例は、治療開始2週間で63%から21%に低下して、その後も低いレベルが維持されました。
当初ITPの他の治療も併用されていた15例のうち、10例では永続的に併用量法が不要になったり1つ以上の治療薬が不要になりました。
以上、日本人の慢性ITPに対してE薬の長期間投与は、安全で、忍容性と有効性が高いと考えられました。
<リンク>
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:29| 出血性疾患