Klippel-Trenaunay症候群の慢性DICと新規経口抗凝固薬
論文紹介です。
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「Klippel-Trenaunay症候群に合併したDICに対する経口抗Xa薬治療」
著者名:Randrianarisoa E, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 24: 766-770, 2013.
<論文の要旨>
Klippel-Trenaunay症候群(KTS)は、リンパ管や血管の異形成で特徴付けられるまれな先天性疾患です。
また、軟部組織や骨の発育障害をきたします。
臨床所見は多様性に富み、静脈の奇形のため播種性血管内凝固症候群(DIC)に起因する血栓塞栓症の危険が増大します。
著者らは、深部静脈血栓症を繰り返し、消費性凝固障害のために致命的な出血をきたしたKTSの1例を報告しています。
また、新規経口抗凝固薬であるリバーロキサバン(抗Xaの薬の一つ)による抗凝固療法により長期的な管理に成功している。
(Klippel-Trenaunay症候群)
1900年にフランスのKlippelとその弟子Trenaunayの二人により初めて報告されました。
患肢の骨軟部組織の過成長と低流量性の血管奇形を伴う疾患です。
(三兆候)
1) ポートワイン斑(port wine stain)
2) 静脈の異常(先天性静脈瘤•深部静脈形成不全;典型的には患肢の外側面に拡張した異常血管がみられる)
3)患肢の骨軟部組織の過成長による肥大
(合併症)
深部静脈血栓症、肺塞栓症、感染・敗血症、播種性血管内凝固症候群(DIC)、直腸出血•血尿
<リンク>
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:37| 出血性疾患