血友病Bに対する遺伝子組換え第IX因子/Fc融合蛋白製剤
論文紹介です。
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「血友病Bに対する遺伝子組換え第IX因子/Fc融合蛋白製剤の第3相試験」
著者名:Powell JS, et al.
雑誌名:N Engl J Med 369: 2313-2323, 2013.
<論文の要旨>
血友病B患者に対する製剤投与回数を減らす目的で、半減期の長い遺伝子組換え第IX因子/Fc融合蛋白製剤(rFIXFc)が開発されました。
著者らは、治療歴のある重症血友病B 123症例(全例12歳以上、FIX≦2%)を対象に第3相試験を行いました。
症例は4群に分類され、1群(用量調整群):最初はrFIXFc 50IU/kgを週1回(投与間隔は固定)の予防投与、2群(投与期間調整群):100 IU/kg(投与量は固定)を最初は10日間毎から予防投与、3群:20〜100 IU/kgを出血時に投与、4群:周術期に投与、としました。
その結果、遺伝子組換え第IX因子製剤(rFIX)と比較して、rFIXFcは半減期82.1hrと有意に延長していた。
年間出血率の中央値は、1、2、3群でそれぞれ3.0、1.4、17.7でした。
2群では、53.8%の患者では投与間障を14日以上にすることができました。
1、2、3群ともに、出血エピソードの90.4%で1回静注で止血しました。
大手術時の止血効果は全て「極めて良好」または「良好」と評価されました。
インヒビターの出現は1例もみられませんでした。
1、2、3群での有害事象出現率は73.9%であり、重篤な有害事象は10.9%でした。こ
れらの有害事象は血友病一般でみられる率と同等でした。
rFIXFcを1〜2週間に1回の予防投与は、年間出血率を減らすものと考えられました。
<リンク>
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:58| 出血性疾患