金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年04月07日

血友病A患者:Bドメイン切断型遺伝子組換え第VIII因子製剤

論文紹介です。

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「治療歴のある血友病A患者におけるBドメイン切断型遺伝子組換え第VIII因子製剤の安全性と有効性:全集団と日本人被験者集団のデータ比較」

著者名:鈴木隆史、他。
雑誌名:日本血栓止血学会誌 25: 75-81, 2014.


<論文の要旨>

ツロクトコグアルファは、Bドメインを切断した新規の第三世代ヒト遺伝子組換え第VIII因子製剤である。

本剤の安全性および出血抑制効果を検討する目的で12歳以上の重症型血友病A患者を対象に国際多施設共同第III相試験が実施された。9人の日本人を含む15カ国150人の患者に定期補充療法が行われた。 


定期補充療法中の年換算出血率(中央値;回/人・年)は、全集団(150人)で3.66、9人の日本人では0であった。

報告された499件の出血エピソードの89.4%が本剤の投与2回以内で、日本人の6件の出血ではすべて1回で止血した。

止血成功率は全集団で84.5%、日本人では100%であった。

試験期間中にインヒビター発生や重要な安全性の問題は認めなかった。

本剤による血友病A患者の定期補充療法および出血時治療は安全かつ有効であり、両集団の止血治療成績は一貫するものと考えられた。


ヒト遺伝子組換え第VIII因子(rFVIII)製剤が初めて臨床利用された1990年代以降、血友病A患者の補充療法は、血漿由来製剤から血液を媒介する感染性物質の伝播の可能性の低いrFVIII製剤への需要が増加している。

第一世代のヒトrFVIII製剤は、製品化にあたり最終工程にヒト血漿由来アルブミンを添加し溶解後のFVIIIタンパクの安全性を得ていたが、その後、アルブミンに代わってショ糖の利用により安定性を得た第二世代の製剤が開発された。

続いて、培養工程中に宿主細胞の増殖を支持するために添加されていた動物血清蛋白を利用しない無血清培養法が導入された(第三世代製剤)。


第三世代ヒトrFVIII製剤は、製造工程(培養、精製、製剤化)を通して動物由来の原料物質の曝露がないために、原理的にウイルス、プリオンなどの感染性物質が製剤に混入する可能性が極めて低く、現在では感染症に対して最も安全で先進的な遺伝子組換え製剤として位置づけられている。



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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:52| 出血性疾患