妊娠関連後天性血友病(第VIII因子インヒビター)と免疫吸着療法
論文紹介です。
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「妊娠関連の重症後天性血友病に対する免疫吸着療法」
著者名:Zeitler H, et al.
雑誌名:Ther Apher Dial 18: 103-110, 2014.
<論文の要旨>
分娩後出血は、母体の死因として良く知られています。
後天性血友病(AH)は、第VIII因子に対する自己抗体が出現するまれで重篤な出血性素因です。
著者らは分娩後AHの8症例について報告しています。
7例はMBMPプロトコールで治療されました。
MBMPプロトコールは、免疫吸着療法(IA)によるインヒビター除去、免疫抑制療法、高用量第VIII因子製剤の併用療法です。
1例は免疫抑制療法のみで治療されました。
重症AH8例中7例は著者らの施設に入院となり、インヒビター力価の平均は118 BU/mLでした。
これらの症例は重症でしたが、診断までの中央値は30.5日(7-278日)もかかっていました。
IAの中央値3回(3〜5回)によってインヒビターは消失し、13回(8〜24回)で凝固因子製剤は不要となり、15回(9〜27回)でIAは中止されました。
比較的軽症であった1例(2.1 BU)は、プレド二ゾロン(1.5mg/kg)が120日間投与されました。
全例で中央値100ヶ月(56〜126ヶ月)で完全寛解がえられました。
以上、妊娠関連重症AHに対するIAは、凝固能を早く改善し、第VIII因子製剤の必要をへらし、免疫抑制療法の期間を短縮させると考えられました。
また、診断が遅れることのないように、出産後出血においてはAHもルーチンで鑑別に入れるべきと考えられました。
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:46| 出血性疾患