金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年05月17日

新しいDIC診断基準へ(2)基礎疾患/臨床症状

新しいDIC診断基準へ(1)現行基準の問題点より続く

新しいDIC診断基準へ(2)基礎疾患/臨床症状

基礎疾患のないDICは存在しないため、基礎疾患でのスコアリングはナンセンスであるという指摘がなされてきました。

基礎疾患の存在は必須として、スコアリングから外すべきと考えられます。


ただし、基礎疾患あるいは基礎病態ごとにDIC病態に差異が存在します。

それに伴い、診断に有用な検査項目が異なってきます。

基礎疾患や基礎病態を分別して、病態別の診断基準を用いる方向性が適切ではないかと考えられます。

特に、血小板数の低下がDICのみに起因しない(造血障害をきたした)症例などでは血小板数でスコアリングができないため、必ず区別することが重要です。


出血症状や臓器症状といったDICの臨床症状ですが、これらが出現しないとDICと診断されないようでは、DICの早期診断に悪影響ですし、予後改善にはつながりません。

加えて、臨床症状がDICによるものか、基礎疾患やその他の合併症によるものかどうかの鑑別はほとんど不可能です。

臨床症状をスコアリングから削除すべきとの指摘がなされてきました。

ただし、臨床症状をDIC診断基準に組込まない場合には、臨床症状を反映する血栓止血学的マーカーを新たに組込むという考え方はあるかも知れません。


なお、DICの出血症状ですが、消費性凝固障害よりも、高度な線溶活性化の要素の方が大きいです。

線溶亢進型DICでは、血小板数が保たれていても致命的な出血をきたします。

DICの病型分類: Classifying types of disseminated intravascular coagulation: Clinical and animal models. Journal of Intensive Care 2:20, 2014

<リンク>「臨床に直結する血栓止血学」

 


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:42| DIC