新しいDIC診断基準へ(3)プロトロンビン時間(PT)
新しいDIC診断基準へ(3)プロトロンビン時間(PT)
プロトロンビン時間(PT)は、DIC以外の多くの要素によって延長します。
例えば、肝不全やビタミンK欠乏症でも容易に延長しますので、決してDICに特異的なマーカーではありません。
むしろ、臨床の現場ではDICよりも肝不全やビタミンK欠乏症によってPTが延長することの方が多いかもしれません。
PTに対する依存度が高いことはDICの誤診につながる懸念すらあります。
一方で、PTは臓器障害を反映したマーカーですし、感染症症例ではPT延長の症例は予後不良という報告が多数あります。
DIC診断基準はいかにあるべきかという考え方にもよりますが、DIC診断基準に予後判断の意義を持たせたい場合には、PTは組込むべきマーカーとも言えます。
現在世界中に存在するDIC診断基準のほとんどが予後も反映していることが知られています。
PTの扱いは賛否両論だと思いますが、予後判断という観点から組込んでおきたいと思います。
肝不全ではPTが組込まれていると誤診につながるという懸念に対しては、それに対して明確に対応できる診断基準が望まれます。
なお、ワルファリンコントロール時にはPT-INRが用いられますが、DICでPT-INRは不適当です。
肝疾患でも通常のPT-INRは不可ですが、近年PT-INR Liverが登場しました(ただし一般的ではありません)。
DIC の病型分類: Classifying types of disseminated intravascular coagulation: Clinical and animal models. Journal of Intensive Care 2:20, 2014
<リンク>「臨床に直結する血栓止血学」
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:16| DIC