小児の致命的出血に対するrFVIIaの有用性
論文紹介です。
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「重症または致命的な出血をきたした非血友病小児に対するrFVIIaの有用性」
著者名: Blatny J, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 25: 326-332, 2014.
<論文の要旨>
著者らは致命的または重症の出血をきたした非血友病小児に対する遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)の有効性と安全性を検討しました。
SeveNBleeP登録(S登録)からのデータを用いました。
S登録は、非血友病患者における重症出血に対するrFVIIaの適用外処方に関する情報を収集するために、2005年に設置された国際登録です。
全部で191症例の登録があり、そのうち164例が検証されました。
164登録のうち、137症例でrFVIIaが出血エピソードに対して用いられました。
137回の治療のうち42回は新生児および1才以下の幼児に用いられました。
rFVIIaは、1才を超えた症例では血液検査(PT, INR, APTT, Ht)を改善し、出血量を減らし、血液製剤(赤血球輸血、FFP)使用量をへらしました。
一方、新生児および1才以下の幼児においては、rFVIIaは血液製剤使用量を減らしませんでしたが、FFP使用量は少なくなる傾向がみられました。
rFVIIaの投与に関連した血栓症は、幼児1例にみられましたが、その他には重篤な有害事象はみられませんでした。
以上、小児の非血友病性出血に対して、rFVIIaは1才を超えた症例では血液製剤を減らすのに有用と考えられましたが、1才以下の症例での有効性は不明と考えられました。
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:11| 出血性疾患