凝固異常出血でのrFVIIa用量と血栓塞栓症の発症頻度
論文紹介です。
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「凝固異常を伴う出血に対するrFVIIaの用量と血栓塞栓症の発症頻度」
著者名: Bucklin MH, et al.
雑誌名:Thromb Res 133: 768-771, 2014.
<論文の要旨>
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)の適用外使用は、血栓塞栓症の発症リスクを上昇させることが懸念されてきましたが、用量との関連を論じた報告はありません。
著者らは、2005〜2012年の間にrFVIIaの適用外使用の行われた全成人症例を対象として検討しました。
低用量使用群(L群:<50μg/kg)と高用量使用群(H群:≧50μg/kg)における血栓塞栓症発症率を一次エンドポイントとして、血栓塞栓症発症までの期間、動脈または静脈血栓症の頻度、死亡率を二次エンドポイントとしました。
上記の登録基準をみたした152症例のうち、L群は66症例、H群は86症例でした。
rFVIIaの平均使用量は、L群30.2±9.5μg/kg、H群99.8±64.7μg/kgでした。
その結果、血栓塞栓症の発症率は全体で12.5%でした。
L群では12例(14%)、H群では7例(10.6%)でした。
二次エンドポイントは、いずれも有意差はありませんでした。
心臓手術患者では20.8%、貫通性外傷患者では21.4%と特に高頻度でした(残りの患者では6.7%)。
以上、rFVIIaの用量によって血栓塞栓症の発症率に差はみられませんでしたが、全体での発症率が低く、サンプル数も小さいため、解析に第2種過誤が存在するかもしれません。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:29| 出血性疾患