金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年06月30日

インヒビター保有の第V因子欠損症:濃厚血小板とノボセブン

論文紹介です。

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「インヒビター保有の先天性第V因子欠損症の止血治療」

著者名: Ardillon L, et al.
雑誌名:Vox Sang 107: 97-99, 2014.


<論文の要旨>

先天性第V因子欠損症において新鮮凍結血漿(FFP)を使用しますと、まれに(約3%)第V因子インヒビターが出現することが知られていますが、その際の治療法は困難です。


著者らは重症の第V因子欠損症(FV<1IU/dL)においてインヒビターを発症した症例(46才、男性)を経験しました。

関節鏡検査の際にFFP 15ml/kg/dayを4日間使用したところ、30日後に第V因子インヒビター(1BU)が出現しました。

その後、最高8BUまで力価が上昇しました。

Day5において、腎血腫と血尿のためにHb<8.0 g/dalとなりました。

止血治療は遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)と濃厚血小板(PC)を用いました。

モニターはトロンビン形成試験(TGA)を用いました。


その結果、止血治療のためにrFVIIaを用いたところ効果は限定的でしたが、rFVIIaとともにPCを静注したところ劇的な効果がえられました。

その後の止血治療はPC単独でも有効でした。

しかし、TGAの結果と臨床効果の間には相関はみられませんでした。


PCの効果は血小板から遊離される第V因子のためと考えられますが、血中の抗体の影響をうけにくいため有効ではないかと考えられました。

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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:38| 出血性疾患