第XIII因子欠損症の治療
論文紹介です。
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「第XIII因子欠損症の治療」
著者名:Odame JE, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 25: 199-205, 2014.
<論文の要旨>
第XIII因子欠損症はまれな先天性出血性素因であり、出生100〜200万人に1人の発症頻度とされています。
治療としてはしばしば第XIII因子製剤による予防が行われますが、特に妊婦においては頭蓋内出血(ICH)対策や妊婦の継続のために重要です。
本疾患はまれであるために質の高いエビデンスはなく、症例報告がほとんどです。
著者らはMEDLINEを用いて、1961〜2012年の論文検索を行いました。
その結果、適当と考えられるのは、チェックした抄録43編であり合計で328症例となりました。
よくみられる出血症状としては、臍帯出血、ICH、血腫でした。
重症または症候性第XIII因子欠損症の診断の後、ほとんどの症例で予防的な凝固因子補充療法が行われ、出血エピソードを消失または減少させることに成功していました。
また、第XIII因子製剤が予防的に投与された妊婦では、問題なく妊婦を継続できました。
第XIII因子製剤が入手不能な場合には、クレオプレチピテートまたは新鮮凍結血漿が用いられていました。
新しい遺伝子組換え第XIII因子製剤の使用も報告されており、効果および安全性において優れていました。
第XIII因子製剤の適正使用指針はないために、より多くの症例登録や国際的協同研究が必要と考えられました。
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57| 出血性疾患